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◆ 第6章 (3) 漢籍の書物で学んだ東アジア [  ❒ 新しい神の国(古田博司著)]


BRING ME THE HORIZON ~ Shadow Moses (2013)



古田博司著新しい神の国

第6章 別亜論とは何か


3. 漢籍の書物で学んだ東アジア


要するに、大川の言うように、「宋学が印度を除く東亜全域の精神界を支配した」ということはなかった。

そして結局、アジア主義者たちの東アジア認識というのは、観念論であり、彼らが規定する東アジアらしきものの周りを儒教観だけが、ただぐるぐると回っていたのである。


もう一人残っている。

中野正剛こそは大東亜戦争の鼓吹者であり、アジアの国々を従えて、同盟日本が大東亜戦争を米英と戦うべきだというファシストであり、自覚的なアジア主義者であった。次に彼らの東アジア認識を見てみよう。


支那と日本とは思想上相交流するものがあります。

遠き昔は言はずもがな、明治維新の原動力となった一つの力は水戸学だと謂ひます。

その水戸には明の朱舜水がやつて来て、漢籍を講義し、その節義忠孝の説が水戸学の源泉となり、それが尊王倒幕といふ明治維新の根本活動力となつたんです。

これは明末に滅びんとして、而うして最後に光を放つた東洋精神、儒教精神が日本に移し植ゑられて、再び芽を発した。

明治維新は、私は南宋並に滅びんとする明等より持つて来たこの儒教精神が与つて力があつたとかう思ふものであります。

(中野正剛・杉森孝次郎編著『全体主義政策・綱領』、育生社、1939年)


またしても、儒教である。

そして大川周明の時には宋学であったが、今度は水戸学ときている。

水戸学は、水戸藩独特の儒教的変容思想である。

もとより、日本だけの変種の儒教であり、東アジア諸国にそれが伝播したという話を筆者はいまだ聞かない。


加えてここでは、朱舜水の水戸藩入りにより日本に儒学の正統が移ったと確信しており、その点において、明治以来の井上哲次郎・新渡戸稲造・三宅雪嶺らが主宰した陽明学会の系譜まで匂わせている。


以上、北一輝大川周明中野正剛という同時代のアジア主義者た東アジア認識を検討したわけであるが、それらが
・朝鮮に関しては「アジア的血脈」の虚構により、
・中国に関しては、船によって舶来された漢籍と、そこから発酵した思想あるいはその変容に依拠し、
ともに朝鮮や中国の社会構造や宗教観、世界認識など一顧だにされていないことは明白であろう。

要するに、インテリたちの観念世界なのである。


福沢諭吉によって唱えられた「脱亜論」は、徳川時代まで蓄積された漢籍による東アジア連帯幻想の放棄であったが、明治維新後の近代化=西洋化により、漢籍に代わって選ばれた洋書は、やがて連帯幻想そのものを必然的に晴らしていった。


続く20世紀初頭、英語得手で漢文下手な岡倉天心があえて「アジアは一つ」と訴えざるを得なかった背景には、白日の下にさらされる「脱亜していた日本」を、必死に東アジアに繋ぎとめようとする「善意の作為」があったと言えるかもしれない。


1880年代に生を受けたアジア主義者たちは、北一輝が1937年に二・二六事件で刑死する他は、順調に生き延びて(← じゅ、www)、1940年代には押しも押されぬファシストあるいは大東亜戦争の唱導者となっていった。


彼らの被害アジア認識がその先達たち同様に、漢籍によってもたらされた儒教であり、宋学であり、その変容としての水戸学であったとすれば、明治以来のアジア主義者、脱亜論者たちも含めて、彼らが東アジア社会の現実に最後まで目覚めず、漢籍から得た観念論を、あたかも東アジアの共通文化であるかのように開陳し続けたということは、まさに驚くべきことではあるまいか。




新しい神の国 ☆ もくじ
(hawkmoon269.blog.ss-blog.jp/2019-11-11-1 )

第6章 別亜論とは何か

1.日本は始めから脱亜していた
2.東アジア音痴のアジア主義者たち
3.漢籍の書物で学んだ東アジア
4.ファシズムとは何か
5.マルクス主義者の東アジア像とその解体
6.朝鮮植民地で別亜に気づいた人々



文明の衝突
◆ 日本は東アジアの一員じゃない




BRING ME THE HORIZON ~ Shadow Moses (2013)


個人的な見解としては、徳川家康が今川の捕虜になっていたのと同じく、イスラエルの王子あたりがエジプトの捕虜になっていたのではないかと思うのですけれど、それを モーゼ という人の導きで脱出する、その「モーゼ」を歌った曲ですね。

クリスチャン・メタルというのは何となくそれらしいですけど、これもバンド名やこの曲名などからいって、ちょっと騒々しいし、暗いですけど(笑)クリスチャン・メタルの系統に入るのでしょうか。


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