◆ “民意の漂流”はマスコミが仕掛けているワナの所為 [ ◆ マルクスからフランクフルト学派へ]
阿比留瑠比の極言御免
投票先なき有権者の不幸
2021.07.08
(www.sankei.com/article/20210708-BQNAFHZ7JRMUZNY45OGQL2AT4Y/ )
都議選の結果を受け記者団の質問に答える菅義偉首相
=7月5日午前、首相官邸(春名中撮影)
与野党ともに、政権選択選挙である次期衆院選で、自分たちこそが一票を投じるにふさわしい選択肢であると示せていない。
筆者は6月17日の当欄でそう書いたが、7月4日投開票の東京都議選は、まさにその通りの結果となった。
「一時は50議席取れるとか言われていたけど、ひどい負けっぷりだ。最近の自民党はタガが緩んで、規律が乱れている。そんなことでは選挙に勝てない」
自民党選対関係者は自嘲する。
自民は改選前の25議席から8議席上積みして33議席となったものの、公明党と合わせて過半数を獲得するという目標にはほど遠かった。
「自民党に代わる選択肢はわれわれだと、十分に届けきれない選挙になった」
立憲民主党の枝野幸男代表も、6日の党会合でこう認めた。
やはり8議席増やして15議席となったとはいえ、自民党の半分以下では胸は張れない。
この数字では、自民に代わり政権を担ってもらいたいという有権者の期待感が表明されたとは到底言えない。
せいぜいが、新型コロナウイルス対策に不満を覚えている都民の自民党批判票が、一定数流れたという程度だろう。
当初の予想よりははるかに善戦した都民ファーストの会にしたところで、改選前より15議席減らしており、たまたま自民にも立民にも入れたくない層の票を吸収できたというのが実態ではないか。
都民ファ自体に何か望みを託したとは考えにくい。
結局、どの政党も勝ったとはいえない。
何とも締まらない結末は、まさに現在の政治情勢を表している。
積極的に投票したい軸の定まった政党が、見当たらないのである。
筆者は前述の6月17日の当欄で「民意は漂流し、どこへ向かえばいいのか分からなくなる」とも書いたが、その傾向はさらに強まっていると感じる。
自民の中谷元(げん)元防衛相は7月7日の会合で、「衆院選後に『小池新党』との保守合同を真剣に検討すべきではないか」と述べ、小池百合子都知事と国政レベルで連携すべきだとの考えを示した。
すると佐藤勉総務会長は同日の記者会見でこう語った。
「党としてどういうことが正しいのかと模索することは誰しもが考えていることだ。前向きにとらえてもいいのではないか」
まさに何でもありの発想である。
融通無碍(むげ)といえば聞こえがいいが、こういう政党の姿勢は信頼に足ると誰が思うだろうか。
もっと首尾一貫してはどうか。
そしてその中谷氏が学院長を務める党中央政治大学院は同日、講師として河野洋平元官房長官を招いた。
中谷氏は超党派の人権外交を考える議員連盟の共同代表として、新疆(しんきょう)ウイグル、内モンゴル両自治区などにおける人権侵害を非難する国会決議案の採択実現を図ってきた。
その人権侵害の実行者である中国共産党の創建100年に当たり、共産党を褒めたたえる祝電を打ったのが河野氏であるにもかかわらずである。
自民はかつて平成6年、社会党の村山富市委員長を担いで連立政権をつくり、政権奪還を果たした。
政治の技術を駆使した一つの成功例だったろうが、こうした野合に対する有権者の視線も当然、当時とは異なる。
左派・リベラルのご都合主義も知れ渡ってきた。
自民がぶれぶれでよろめく一方で、野党第一党の立民は共産党の「リアルパワー」(安住淳国対委員長)に頼る以外の展望を持たない。
これでは、有権者は不幸である。(論説委員兼政治部編集委員)
投票先なき有権者の不幸
2021.07.08
(www.sankei.com/article/20210708-BQNAFHZ7JRMUZNY45OGQL2AT4Y/ )
都議選の結果を受け記者団の質問に答える菅義偉首相
=7月5日午前、首相官邸(春名中撮影)
与野党ともに、政権選択選挙である次期衆院選で、自分たちこそが一票を投じるにふさわしい選択肢であると示せていない。
筆者は6月17日の当欄でそう書いたが、7月4日投開票の東京都議選は、まさにその通りの結果となった。
「一時は50議席取れるとか言われていたけど、ひどい負けっぷりだ。最近の自民党はタガが緩んで、規律が乱れている。そんなことでは選挙に勝てない」
自民党選対関係者は自嘲する。
自民は改選前の25議席から8議席上積みして33議席となったものの、公明党と合わせて過半数を獲得するという目標にはほど遠かった。
「自民党に代わる選択肢はわれわれだと、十分に届けきれない選挙になった」
立憲民主党の枝野幸男代表も、6日の党会合でこう認めた。
やはり8議席増やして15議席となったとはいえ、自民党の半分以下では胸は張れない。
この数字では、自民に代わり政権を担ってもらいたいという有権者の期待感が表明されたとは到底言えない。
せいぜいが、新型コロナウイルス対策に不満を覚えている都民の自民党批判票が、一定数流れたという程度だろう。
当初の予想よりははるかに善戦した都民ファーストの会にしたところで、改選前より15議席減らしており、たまたま自民にも立民にも入れたくない層の票を吸収できたというのが実態ではないか。
都民ファ自体に何か望みを託したとは考えにくい。
結局、どの政党も勝ったとはいえない。
何とも締まらない結末は、まさに現在の政治情勢を表している。
積極的に投票したい軸の定まった政党が、見当たらないのである。
筆者は前述の6月17日の当欄で「民意は漂流し、どこへ向かえばいいのか分からなくなる」とも書いたが、その傾向はさらに強まっていると感じる。
自民の中谷元(げん)元防衛相は7月7日の会合で、「衆院選後に『小池新党』との保守合同を真剣に検討すべきではないか」と述べ、小池百合子都知事と国政レベルで連携すべきだとの考えを示した。
すると佐藤勉総務会長は同日の記者会見でこう語った。
「党としてどういうことが正しいのかと模索することは誰しもが考えていることだ。前向きにとらえてもいいのではないか」
まさに何でもありの発想である。
融通無碍(むげ)といえば聞こえがいいが、こういう政党の姿勢は信頼に足ると誰が思うだろうか。
もっと首尾一貫してはどうか。
そしてその中谷氏が学院長を務める党中央政治大学院は同日、講師として河野洋平元官房長官を招いた。
中谷氏は超党派の人権外交を考える議員連盟の共同代表として、新疆(しんきょう)ウイグル、内モンゴル両自治区などにおける人権侵害を非難する国会決議案の採択実現を図ってきた。
その人権侵害の実行者である中国共産党の創建100年に当たり、共産党を褒めたたえる祝電を打ったのが河野氏であるにもかかわらずである。
自民はかつて平成6年、社会党の村山富市委員長を担いで連立政権をつくり、政権奪還を果たした。
政治の技術を駆使した一つの成功例だったろうが、こうした野合に対する有権者の視線も当然、当時とは異なる。
左派・リベラルのご都合主義も知れ渡ってきた。
自民がぶれぶれでよろめく一方で、野党第一党の立民は共産党の「リアルパワー」(安住淳国対委員長)に頼る以外の展望を持たない。
これでは、有権者は不幸である。(論説委員兼政治部編集委員)
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