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◆ 第3章 (5) 「倫理の高み」 にのぼった中共 [  ❒ 新しい神の国(古田博司著)]


METALLICA ~ Wherever I May Roam (1991)



古田博司著新しい神の国

第3章 贖罪大国日本の崩壊


5. 倫理の高みにのぼった中共


翌1959年から、60年安保反対運動が始まると、親中共派のイデオローグたちがいよいよ活発な活動を開始した。

1959年の世界の4月号では、加藤周一が「中立と安保条約と中国承認」という論稿で中国の「倫理」を誉め讃えた。(← アバタもエクボってやつですねw)


私はアジア・アフリカ作家会議準備委員会で、中国の作家と同じ屋根の下に暮らしていたとき、もし私が中国を訪ねたら、中国の町や村の人々は私に対してどういう態度をとるだろうか、ときいたことがある。

(中略)

町にも、村にも、日本人に親や兄弟を殺された人々は少なくないはずだが、その人々はわれわれに石を投じないのだろうか。

投じたとしても、抗議する資格がわれわれにないという考えが私にあった。

しかし中国の作家は、そんなことは決してしないだろう、と繰り返し、中国の大衆は日本帝国主義と日本の人民とを区別することを知っているといったのである。

(中略)

しかしその倫理的きびしさにおいて、これほどの礼は知らない。

アグネス・スメドレーが中国革命軍の倫理的高さについて語ったときに、彼女はまちがってはいなかったのである。

(中略)

中国の承認は、政治問題であり、損得利害の問題であるよりまえに、われわれにとっては倫理の問題であり、国民としての品位の問題である。


典型的な軍民二分論(「日本帝国主義」者と日本の人民 とを区別する)であるが、これについては後述しよう。

それよりも驚かされることは、加藤周一が、ゾルゲ事件の関与者で中共軍に従軍し戦後はソ連スパイの容疑者であったアグネス・スメドレー権威を仮託し、自分の見方ばかりで正義感に投入して、中国の現状を全く見ようとしないことである。

したがって現実的になりようがない。(←wwwww)


倫理的高みにあるはずの中国革命軍は、1950年からチベットを侵略し、この年、1959年3月にはチベット動乱は頂点に達し、軍は民衆に砲撃を加えて、約3000人の死者を出していた。

加藤周一の論稿と同じ頃の出来事である

その後、1950年から今日までに、総人口600万人のチベットで120万人が虐殺されたとチベットの人々は訴えるが、中共はこれを認めず、チベット侵略を平和解放と呼んでいるのである。



さらに同年の世界6月号では、ソロモン・アンドラーなるルーズベルト時代の米財務省官僚が、「中国経済の躍進と人民公社」という論稿を載せ、
1958年の豊作の歴史的な意義はきわめて大きい。

中国の近代化の出発いらい、空腹をなくすことが民衆の圧倒的多数のための第一の急務であった。

いまや食糧問題は、その物質的側面において完全に解決されたのであり、『飢えたる民衆』は過去の墓場へほうむられたのである」
と述べている。


しかし本当はこの大躍進政策により、中国では約3000万人の餓死者を出している真っ最中であった。

このアドラーもスメドレーと同じく、ソ連と中共の工作員であったことが疑われている。


この後中国では、この大躍進政策の失敗とつづく大飢饉、1966年から 1977年に及ぶ文化大革命による体制内大殺戮、1989年の天安門事件と失敗につぐ失敗であったにもかかわらず、なおも人口 13億のうち、わずか 5~6% を占める共産党員による独裁政治が今日も続いている。

そして「社会主義による近代化」という路線を選択した結果、20世紀の国民国家形成に失敗したことを肯(がえ)んずることなく、自らの失敗を覆い隠そうとしているのである。


彼らが自らの近代化の失敗を隠蔽すればするほど、その前近代的体質独裁反自由非人権に執着するものであり、ポストモダンの日本を前近代に引きずり込もうと試みるのは理の当然といわねばなるまい。


しかし日本の左翼知識人たちはなおもその現実に目を覆い、中共を「倫理の高み」に乗せたまま、21 世紀を乗り切ろうとしている。

つぎに開設する軍民二分論は、そのような彼らの最後の砦の一つであろう。





新しい神の国 ☆ もくじ
(hawkmoon269.blog.ss-blog.jp/2019-11-11-1 )

第3章 贖罪大国日本の崩壊

1. 戦後日本の愛国しない心
2. 韓国での排外体験
3. 愛国心とナショナリズム
4. 贖罪の宣伝戦
5.倫理の高みにのぼった中共
6. 軍民二分論の破綻
7. 韓国人の中国人評
8. 朝鮮への贖罪工作
9. 良心的知識人たちの善意
10.贖罪大国の崩壊



文明の衝突
日本は東アジアの一員じゃない


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